
円高とは円安とは
円高とは、比較対象となる通貨に対して、日本円というお金の価値が相対的に強い状態になることを言います。同じ1米ドルの商品を購入するのに、それまで100円払っていたところ、90円の支払いで済むようになることです。このように円高の状態で日本人が海外旅行に行くと、その恩恵を受けられることになります。
例えば海外のホテル代が1泊300米ドルだったとします。1米ドル=100円の場合は3万円の支払いですが、1米ドル=90円ですと27,000円の支払いです。
反対に円安とは、比較対象となる通貨に対して、日本円というお金の価値が相対的に弱い状態になることを指します。同じ1米ドルの商品を購入するのに、それまで100円払っていたところ、110円必要になることです。上記のホテル例ですと、1米ドル=100円の場合3万円の支払いですが、1米ドル=110円ですと33,000円の支払いが必要になります。
円高・円安どちらがよいか
円高=円が強い
円安=円が弱い
というイメージです。では円高と円安のどちらがよいか。結論はどちらとも言い難いです。
円高は円が強いわけですから、海外旅行に行く方や、海外からの輸入を生業にしている方は恩恵を受けるでしょう。上記のホテルの例でお分かりいただけると思います。一方輸出を商売にしている企業には円高は歓迎されないかもしれません。例えば海外で3万米ドルで自動車を販売していた企業があったとします。現在1米ドル=100円の為替であれば、1台販売で300万円の売り上げです。しかし1米ドル=90円の円高になると、270万円の売り上げとなってしまいます。
逆に1米ドル110円のように現在より円安になれば、330万円の売り上げですからより儲かります。そうなると輸出産業は円安を歓迎するかというと、原材料を海外から輸入していれば、円高は材料コストを抑えてくれるとも言えますね。結局のところ円高・円安のどちらがよいかは、人や状況によって色々だということです。
一つはっきりしていることは、将来の為替がどうなるかは誰にもわかりません。今日(5月5日)のドル円為替レートは、1米ドル=109円ですが、これが円高傾向なのか円安傾向なのかは後からわかることです。5年後1米ドル=80円になれば今は円安だったということですし、1米ドル=120円になれば今は円高だったということです。
では分からないを前提に私たち個人ができることは何でしょうか。
「リスクを分散」
しておくことです。日本円だけで資産を保有するのではなく、外貨資産も持つことで為替リスクは低減できます。
リスク分散の大切さ
仮に1米ドル=50円の円高(強い円)になれば、円資産を保有している人にとっては、強い円で海外旅行も安くいけますし、海外不動産を購入したりなどできそうです。もし1米ドル=300円の円安(弱い円)になったとしたらどうでしょう。海外旅行は今の3倍ぐらいの費用感でしょうし(お給料も3倍になっていれば問題ありませんが…)、輸入製品は高くて手が出ない、なんてことになるかもしれません。
日本では日本円だけで資産を保有されている方が圧倒的に多いのですが、これは今後円安に振れた場合、非常に大きなリスクを取っていることになります。
そこでとても極端な例ですが、もし資産の半分を日本円、もう半分を米ドルで保有するとしましょう。するとこの方にとってドル円の為替リスクはなくなります。なぜかというと、
・円高になると、保有する円資産の価値は上がり、米ドル資産の価値は下がることで相殺
・円安になると、保有する円資産の価値は下がり、米ドル資産の価値は上がることで相殺
増えた分の資産で減った分を買い戻しすれば、全体資産価値は変わりません。つまり為替がどちらに振れても資産価値は一緒です。この「減らさない」ということは、一見保守的に思えるかもしれませんが、非常に大事な資産運用の考え方です。
海外在住の日本人の皆様は、既に現地通貨と日本円を保有されておりますが、その中に世界基軸通貨である米ドル資産も織り交ぜていただき、リスク分散効果を高めていただくことをお勧めいたします。是非ご検討ください。ご相談はお気軽にお問い合わせください。