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変動する解約返戻金
高い利回りが魅力の香港の米ドル建て貯蓄型保険ですが、予定解約返戻金(Surrender Value)は、保険会社が発行する設計書(イラストレーション)でご覧いただくことができます。しかし設計書に記載されている金額は、運用結果により変動し、あくまで「予定通りの運用ができた場合」です。
例えば下記は、サンライフ香港の米ドル建て貯蓄型保険「Victory」契約時の設計書です。
予定解約返戻金(Surrender Value)= (A)+(B)+(C)
(A) : Guaranteed
(B) : Accumurated Reversionary Bonus(リヴァーショナリーボーナス)
(C) : Accumurated Terminal Bonus(ターミナルボーナス)

(A)Guaranteed は、保証分と訳すことができます。サンライフ香港が契約者に必ず保証する分で、設計書上の金額が満期まで変更されることはございません。
そして(B)リヴァーショナリーボーナスと(C)ターミナルボーナスは、Non-Guaranteed=保証がないので変動する配当・金利ボーナスです。毎年1年間(通常4月1日から翌年3月31日まで)の運用実績に基づき決定・更新されます。(運用1年ごとに発行される運用報告書で、次年度以降の利回りが確認できます。)サンライフ香港は、リヴァーショナリーボーナスとターミナルボーナスの変動要素を、下記の通り定義しております。
The Reversionary Bonus and Terminal Bonus are non-guaranteed and are determined in accordance with the rules set out by Sun Life Hong Kong Limited from time to time. The Reversionary Bonus and Terminal Bonus may vary based on the performance of a number of experience factors, with the investment return normally being the main determinant. Other
factors include, but are not limited to, claim experience, policy expenses, taxes, and policy owner termination experience.
The cash value of Reversionary Bonus and Terminal Bonus might not be equal to their own face value. For details of bonuses, please refer to Bonus Philosophy under section Important Information and Sun Life Hong Kong Limited’s website (www.sunlife.com.hk).
リヴァーショナリーボーナスとターミナルボーナスは非保証で、サンライフ香港が随時定める規則に従って決定されます。リヴァーショナリーボーナスとターミナルボーナスは、多くの経験要因のパフォーマンスに基づいて変化する可能性があり、通常投資収益率の主な決定要因になります。 その他の要因には、保険金請求、保険契約費用、税金、および保険契約者の解約などが含まれますが、これらに限定されません。
リヴァーショナリーボーナスとターミナルボーナスの現金価値は、それぞれの額面価格と等しくない場合があります。 ボーナスの詳細については、重要な情報項目およびサンライフ香港のウェブサイト(www.sunlife.com.hk)のボーナス哲学を参照してください。
運用達成率(Fulfillment Ratio)
非保証分リヴァーショナリーボーナスとターミナルボーナスの運用達成率は、保険会社のウェブサイト上で確認ができます。
- サンライフ香港:https://www.sunlife.com.hk/en/insurance/savings-and-life/fulfillment-ratios-of-respective-products/
- プルデンシャル香港:https://www.prudential.com.hk/performance/fulfillment-ratio/en/(同社のSpecial Bonus(スペシャルボーナス)がターミナルボーナスに相当します。)
- FWD香港:https://www.fwd.com.hk/en/regulatory-disclosures/fulfillment-ratios/ (同社のAnnual Dividends(アニューアルディヴィデント)がリヴァーショナリーボーナス、Special Bonus(スペシャルボーナス)がターミナルボーナスに相当します。)
- YFライフ:https://corp.yflife.com/sites/default/files/pdf/useful-information/investment-strategy/Annual_Dividend_and_Terminal_Bonus_2020_EN.pdf(同社のAnnual Dividend(アニューアルディヴィデント)がリヴァーショナリーボーナス、Special Bonus(スペシャルボーナス)がターミナルボーナスに当たります。)
非保証ボーナスの呼び名は保険会社により違いますが、貯蓄型保険の解約返戻金は、保証分と2種類の非保証ボーナスから成り立っていることはお分かりいただけたかと思います。また達成率は、運用開始年・運用通貨、保険料支払回数、保険商品により違います。
契約者の立場としては、設計書を上回る運用リターンが出るほうが嬉しいですよね。しかし保険会社は、よほど大きな経済変化がない限り、運用達成率100%つまり設計書通りの運用が基本姿勢です。ですから運用過程で予定を上回る利益が出た場合も、すぐに全利益を契約者に還元せず一部をプールしておき、予定を下回る運用の時に補填するといった調整をしたりします。これをSmoothing(スムージング)と言い、長期運用において安定的(=スムーズ)に設計書に寄せていくための手法です。
保険会社・保険商品によって利回りが違う理由
市場に出回る貯蓄型保険の利回りは、提供する保険会社・保険商品によって違います。その一番の理由は、享受しているリスクの違いです。
例えば格付けAAとBBBの保険会社で、貯蓄型保険の設計書上の予定利回りが一緒だとしたら、多分ほとんどの方がAAの保険会社で契約されますよね。なぜならその方がよりリスクが低く安心だからです。ですから格付けBBBの保険会社は、格付けAAの保険会社よりも信用リスクを取ってもらう見返りに、高い利回りを契約者に約束します。(そうしないと契約が取れません)
信用リスク以外に、流動性リスク、運用リスク、カントリーリスクなども含め、利回りの違いは、保険商品のリスクの違いと理解しておけば、単純に予定利回りの高低だけで選択するようなことはなくなるかと思います。
長期運用できるならおススメ
最近は、日本の保険会社も米ドル建て貯蓄型保険を取り扱うようになりました。しかし日本と香港の利回りは、まったく違います。(機会がございましたら、是非日本の保険会社の見積もりを取り寄せてみてください。)
貯蓄型保険は、短期で結果は出ませんが、長期(最低でも10年以上)運用いただければ、非常に安定したリターンが期待できる運用商品です。老後の自助年金作りや、お子さまの教育資金作りにぜひ一度ご検討ください。ご不明点・商品詳細は、お気軽に無料相談をご利用ください。