生命保険の仕組みを知りましょう(その2)

付加保険料と併せて大事なポイントとは

その1では、我々が支払う保険料は、「純保険料」と「付加保険料」からなり、単に保障を手配しているだけでなく、付加保険料という事業コストも支払う保険料の中から負担しているというお話でした。

引き続き前回同様のケースです。

1000万円の死亡保障を100人でリスク共有し、保険会社を通じて手配する場合、1000万円が純保険料で、300万円が付加保険料となり、

一人当たりの負担(保険料)は、純保険料として10万円、付加保険料として3万円、合計で一人当たり13万円の保険料になりました。

では本日は、2つ目の保険料を決めるポイントです。

まず保険の特徴ですが、保険料を契約者から受け取っても、実際に保険金を支払うまでにはある一定の時間があります。10年養老保険であれば通常10年後ですし、終身保険であれば、最終的な支払いは数十年後といった具合にだいぶ先になります。

よって保険会社は、保険料を契約者から預かりただ保有しているのではなく、だいぶ先の満期や被保険者死亡時の保険金支払い期日まで「運用」することができるわけです。

上記の例であれば、1300万円は1年後に必要となりますから、1年間で運用し増やすことができれば、その増やせた分を割り引くことで、皆から集める保険料は少なくて済みそうです。

ではここでは分かりやすく、保険会社が年利30%の運用ができると仮定します。その場合、保険会社が集めるべき保険料はいくらになるかみてみましょう。

確率で計算した場合は以下の通りです。

死亡率(1/100)と事業費率(0.3/100)を足した保険料率から、運用で得られる利率、ここでは30%(=0.3/100)を差し引いてあげることで、必要な1/100という保険料率から導き出せます。

これを保障額1000万円に掛けてあげると、一人当たりの保険料が10万円となります。つまり、

10万円の保険料を100人から集めると合計1000万円です。

この1000万円を年利30%で運用すると、1年後には1300万円になります。

一人が死亡した際、1000万円が保障として支払われ、残りの300万円が事業費として保険会社に支払わるわけです。

実際の保険料の方程式は、あくまで様々な予定でしか成り立ちませんので、下記のように全て「予定」と表現されます。

この方程式から、保険料を決めるもう一つのポイントが、「予定事業費率」と併せて、「予定運用利率」であることが分かります。我々が支払う保険料をどのようの運用するのか(何で運用するのか)が、保険料決定に直接影響を与えますから大事な数字です。

事業費率を低く抑え、

運用利率が高いと、

保険料は下がる、ということがご理解いただけましたでしょうか。

ちなみに債券利回りは、1年より2年、5年より10年といった具合に、期間が長いほど利率は高くなるので(例外もたまにあります)、保険契約期間が長ければ長いほど、保険会社はより長期の債権(=高い利回り)で運用が可能になるため、契約者に還元される予定利率も一般的に高くなります。

保険契約時のポイント

では最後に保険会社の見極める際のポイントをまとめておきます。

1.参加者をしっかり集めているか

参加者がいてはじめてリスクの共有が可能であり、また事業費も賄えるので、ある程度の参加者がいないと保険が成立しません。そして契約時の資格者の選別も大切な要素でした。

2.事業効率はどうか

保険料に占める付加保険料の割合が高いということは、契約者のコスト負担分が多いことを意味し、結局割高の保険料を意味しました。適当な事業費率であるかどうかをまず見極めましょう。

3.運用はしっかりできているか

事業効率と併せて、我々が支払う保険料に直結するのが予定運用利率でした。運用の詳細まではなかなか開示していないと思いますが、少なくとも契約する保険の予定運用利率ぐらいは事前に把握し、納得した上で契約するようにしたいですね。

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