台湾居住の今だからできる資産運用を知っておきましょう

日本と海外の違い

私はこれまで、アメリカ、オランダ、北京、香港、台湾と住んでみて、どこの国にも日本より良い点-悪い点、便利なところ-不便なところ、好きになれるところ-好きになれないところなど、必ず両側面があることに気付きました。日本で「当たり前」だったことが、海外ではそうでないこともたくさんあることを知りました。また「日本人」であることの有難さも感じることが多いです。

日本国発券のパスポートは、ビザなしで世界191ヶ国に行くことができます。(2020年世界1位)
Made In Japan製品の信用も、まだまだ海外では高く、今や日本食は世界中で人気で、Japanese Restaurantは、たいていの国で見つけることができるのではないでしょうか。(このコロナ渦でも美登利寿司、崎陽軒も最近台湾に進出してますね。)

先人が積み重ねてくれた信用により、「日本人」というだけでたくさんの恩恵を享受させていただけるのは本当に有難いことです。この信用を裏切ることがないよう、私自身も海外での日本を代表している気持ちで、恥ずかしくない行動を心がけ、台湾や海外の方々にもっと日本を好きになってもらえたらと思います。

日本に足りないもの

一方日本に足りないものもわかりました。その代表的なものは、金融、経済、投資への意識と知識です。私たち日本人は、経済や金融・投資教育を義務教育で学びません。しかし香港や欧米では、小中学校の段階で既に経済の勉強が義務教育となっています。

「知らないことが罪ではない。知ろうとしないことが罪だ。」

ソクラテスの言葉です。お金は経済活動の手段で、すべての人が手にする以上、最低限の経済知識はおさえておきたいところです。

護送船団方式の日本の金融

最近は少しでも手持ち資産が増えるよう、よりよい金利を求めて預金したり保険契約される方も増えています。これは各金融機関によって差があるからなのですが、1990年中頃までは、どの銀行で預けても預金金利が一律一緒だったのはご存じでしょうか。また保険商品も契約条件が一緒であれば、どの保険会社で加入しても全く同じ保険料だったのはご存じでしょうか。今でこそ自由競争が当たり前ですが、実は戦後の日本の金融は、長らく「護送船団方式」を採用しておりました。

護送船団方式とは、行政手法の一つで軍事戦術として用いられた「護送船団」が由来です。船団の中で最も速度の遅い船に速度を合わせ、全体が統制を確保しつつ進んでいくことになぞらえて、特定の業界において経営体力・競争力に最も欠ける事業者(企業)が落伍することなく存続していけるよう、行政官庁がその許認可権限などを駆使して、行政指導などにより業界全体をコントロールしていくことを指します。

護送船団方式の下では価格競争はありませんので、手数料や保険料は割高となり、結果的に日本と海外には大きな金融格差ができてしまいました。

海外との金融格差を埋めようと、1990年後半橋本龍太郎首相は、東京をニューヨーク・ロンドンのような金融都市にせんと、銀行法、外為法、証券取引法など様々な金融関連の法改正を行いました。この一連の金融緩和を「金融ビックバン」と言います。

下記は当時の朝刊の一面です。海外に銀行口座を保有して外貨を持ったり、海外の金融機関の投資商品で資産運用ができるようになりました。

1998年4月1日の読売新聞1面より

下記は大蔵省のホームページより。

ニューヨーク・ロンドンに追い付くための競争どころか、みな合併してしまいましたね💦

この金融ビックバンを境に、金融機関同士の価格競争が認められるようになりました。銀行の預金金利も、保険会社の保険料も各社それぞれ競争するようになりました。

そして1998年4月1日には「外国為替管理法(外為法)」が改正されました。改正前は、日本居住者は日本国内の金融機関とのやり取りしかできませんでしたが、改正後は、海外に銀行口座を開設し外貨で保有したり、海外に証券会社を開設し外国の株式や投資信託を購入することができるようになり、日本の金融機関を介さず直接海外の金融商品に投資をし資産運用することができるようになりました。 資産運用の垣根が、「国内」から「グローバル」に拡大しました。

日本居住者にとって海外投資は一方通行

外為法の改正で、「グローバル」な資産運用が選択できるようになった一方、日本には「金融商品取引法(金商法)」という法律があります。金融商品取引法は、海外の金融機関が、金融庁の無認可金融商品を日本国内で販売・営業することを認めておりません。つまり日本居住者は、能動的に海外の情報を得ようと行動しなければ、海外の金融情報に触れる機会がない、つまり海外投資は一方通行なのです。

台湾居住者のメリット

金融商品取引法はあくまで日本居住者を対象にしております。従って、海外居住者は対象ではありませんので、世界の金融情報が直接手に入る、大きなメリットがございます。海外駐在中の方は、この絶好の機会に海外金融という資産運用の選択肢をご検討いただければと思います。

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