台湾在住の日本人にお勧めしたい「オフショア香港」を活用した資産運用

皆さんは「オフショア」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

英語ではoffshoreと書きます。offは、離れた、とか、向こう側、を意味し、shoreは、岸を意味しますので、岸の向こう側となり、海上や海外を意味したりします。

そしてoffshoreのoffの反対は、onですから、onshoreという言葉もあります。岸の上(on)なので、国内を意味したりします。

下記は、「オフショア」と呼ばれる代表的な地域・国を世界マップにしてみました。この限りではないですが、世界には40近くのオフショアと呼ばれる地域・国があると言われています。

日本や台湾から最も近いオフショアは「香港」です。アジア地域では他には、シンガポール、ラブアン(マレーシア)もオフショア地域です。

金融業が盛んで、税金が安く、世界中の富裕層が集まっている場所を、オフショア地域とイメージする方が多いようです。また3年ほど前に、「パナマ文書」というのがメディアでもかなり取り上げられたのを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。パナマもオフショア地域ですが、あまりポジティブなイメージの報道ではなかったかもしれません。

また「タックスヘイブン」という言葉もオフショアと併せてよく使われる言葉です。租税回避地、という意味で、合法的に税制上の優遇が受けられる地域を指して使われる言葉です。たまに「タックスヘブン(税金天国)」のような使い方をされる方がいらっしゃいますが、完全な間違いですので気を付けましょう。(笑)
いずれにせよ、なにか凄そうだけど、曖昧でわかりずらいオフショアについて、今日はその由来も含めて解説したいと思います。

オフショアの由来 その1

オフショアの由来はいくつかありますが、まず一つ目は、大航海時代の大英帝国(イギリス)に遡ります。当時のイギリスは、武力行使で世界各地に多数の植民地を所有していました。

そして植民地では、イギリス本国から移住してきた英国人が、インドで綿花を栽培したり、中国からお茶や絹を貿易したり、様々な経済活動を行っていました。しかし植民地支配とは、武力による強制的なものがほとんどでしたから、植民地支配をよしとしない現地人による内乱も多く、植民地は非常に不安定な場所でした。(例:セポイの反乱-あくまでイギリス人がつけた呼称で、インドでは第一次独立戦争といいます。)

つまり植民地で働くイギリス人は、内乱などのリスクと常に背中合わせであったわけでした。そこで資産を守るために、築いた資産の一部は、イギリス本土に送金していました。本土に一定の資産があれば、仮に植民地で内乱が発生した場合でも、身柄ひとつ本土イギリスに帰国さえできれば、人生本国で再出発も容易というものです。(台湾にもあるHSBC(香港上海銀行、本社イギリス)は、まさに当時植民地銀行としてスタートした銀行です。)

しかし当時イギリス本国では、植民地から送金された資産に対して、資産税という税金が課されていました。

我々が国や地方に税金を支払うのは、そこで公共のサービスを受けられるからに他なりません。植民地というカントリーリスクの高いところで、命がけで稼いで築いた資産を、リスクヘッジのために本国に送金すると、何の世話もしてくれない本国の政府に税金だけ徴収されたら、これはあまり面白くありません。

そこでイギリス政府は、植民地の中でも特に政情・治安が安定した地域を選定し、法制度・金融制度を確立し、その地域の資産については、イギリス非居住者は非課税にしました。その地域が香港やシンガポールであり、今もその流れからオフショアというステータスを保持しています。

ですからオフショアとは、大英帝国の植民地政策時代に、植民地で働く英国人たちが、自分たちの資産を管理・防衛するための地域としてスタートしたものだったのです。

オフショアの由来 其の2

では次に、別のオフショアの由来をみてみましょう。

スイス、リヒテンシュタインは小さな国で、近隣のドイツ、フランス、イタリアといった強国に囲まれていました。また山岳地帯であったため、特出した産業もありませんでした。

そこで両国は、19世紀に永世中立国を宣言し、近隣の国のために働き、外貨を稼ぐという、傭兵産業が発展していきました。(今でもバチカン市国の衛兵は、スイス傭兵が務めているそうです)

しかし傭兵とはある意味命がけの仕事でしたから、もし命を落とせば、母国に残してきた家族のその後の面倒をどうするのかという問題を抱えていました。

そこで解決策としてスイス人は、傭兵として出稼ぎに行く際に、資産管理を教会・司祭に託し、自分に万が一の場合はそれで家族の面倒をみてもらうという、教会制度を確立しました。

隣り合う国家間同士の争いが絶えなかったヨーロッパの中で、スイスは永世中立国として、政情・治安がとても安定した地域となりました。そして上記の教会制度を起源とした、法制度・金融制度が整備されたことで金融が発達しました。更に税制上のメリットも追加したことで、結果的に多くのヨーロッパの富裕層たちが、リスク分散先としてスイス・リヒテンシュタインを活用するようになったのです。

結局ドイツの富裕層も、イタリアの富裕層も、フランスの富裕層も、強国とは言え、もし自国が戦争で敗れるようなことがあれば、全財産を没収されてしまうかもしれない、というリスクと常に隣り合わせでした。そこで、永世中立国のスイスは、どこの富裕層にとっても、戦争リスクを回避できる格好の資産保管場所となったわけです。

特にスイスがオフショアとしての信用を大きく獲得したのは、第二次世界大戦時でした。当時スイスは、ユダヤ人の資産を開示するようナチス軍からの圧力を受けていました。しかしスイスは、結局ユダヤ人の資産も、もちろんナチスの資産も開示することはなかったそうです。もしナチス軍の圧力にあの時屈していたならば、万が一の時にそんな弱腰の国家を信用し、大事な資産を預けようとは思いにくいですよね。

オフショア地域を定義する

ということで、以上2つのオフショアの由来をみてきましたが、オフショア地域を定義づけするならば、次のようになります。

①政情が安定している

②法制度がしっかりしている

③税率が低い

④金融が発達している

オフショア地域というと、低い税率や発達した金融がクローズアップされがちなのですが、もともとオフショア地域の役割は、「カントリーリスクの分散」ですから、①政情が安定していることと、②法制度がしっかりしていることは、オフショアの定義としては非常に重要な要素と言うことができます。

日本におけるカントリーリスクも、ないとは言えません。グローバル社会となった今、日本が戦争に巻き込まれない保障はありません。いつ何があるかわからない、という前提に基づいて、可能なリスク管理から始めることが資産運用の第一歩と言えます。オフショア地域とは、その一端を担ってくれる非常に有益な地域であることは、現状疑いの余地はありません。是非上手に利用してみてください。

日本から最も近いオフショアは香港ですが、昨年のデモ騒動から国家安全法の施行と、日本ではかなりネガティブなイメージになっているようです。しかし個人的にはオフショア地域としての香港のステータスは、まだまだ揺らぎないものだと思っています。
日本の報道は、今後の香港に対しては不安視一辺倒ですが、海外では違った見方が多いのも事実です。ちなみに対米ドルで目標相場圏制度(ペッグ制度(固定相場)のようなもので、1米ドルを7.75~7.85香港ドル内で連動させる為替の仕組み)を採用している香港ドルは、今年の春より許容変動幅の上限(1米ドル=7.75香港ドル)で張り付いたままの状態です。(下記図参照)要するに香港ドルがより買われ続けていることを意味します。以外に思われた方も多いのではないでしょうか。何故香港ドルが買われるのか、一部の報道に左右されることなく、本質を理解することで我々が取るべき行動も見えてくるのではないでしょうか。

春より1米ドル=7.75香港ドルの高値をキープ

 

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